カクテル~Parfait Amour~
「ありがとうございました。俺はホストをだいぶ長くやっていましたけれど、結局妃緒以外の女の人のことはまるでわからないんです。」
水野さんは苦笑いを浮かべる。
「充分だと思いますよ。
今日はお一人ですか?」
「妃緒が急に実家の方によばれてしまったんです。
一人で家で食事をするのも味気なくて。
妃緒のことで考えたいこともありますから。」

僕の差し出したメニューをさっと見る。
「妃緒はいつも、どんなものを飲んでいるんですか?」
「だいたい、フィズかフルーツの弱いものですね。
二杯目を飲む時は、ミルクのものを飲んでいます。」
「俺もあまり酔うのが好きではないんです。
そうですね、この前妃緒が伺った時に飲ませていただいたもので。
よかったらご一緒にいかがですか?」
「ありがとうございます。
せっかくですけど、僕も酔ってしまうわけにはいきませんので、お茶をいただきますね。」

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