カクテル~Parfait Amour~
「今度は幸せな物語だね」
僕は、妃緒が自分の誕生日に抱えて現れたバラの花束を思い出していた。
あのバラも、光の加減でピンクにもクリーム色にも見えたから覚えていた。

妃緒はグラスに手を伸ばして、ティフィンフィズを飲みきった。
「そろそろ帰るね。」

「終電の時間だね。わかった。
本は持って行っていいよ。次にまた新しい物語を聞かせてほしい。」
「うん、ゆっくり見せてもらうね。」

会計を済ませた妃緒を、ぼくはエレベーターで一階まで送った。
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