カクテル~Parfait Amour~
「職業が天使か。誰でもなれる職業じゃないね。」

こんな風に人間の中に紛れ込んでいる天使がいるのなら、妃緒もその一人だろう。
あまりにも純粋すぎる。

「高裕さんがね、私のこと天使だって言ってくれたの。
その一言で、社会に溶け込めなくて苦しかったことに納得できたんだ。
同じになれないなら、うまく付き合う方法を考えればよかったんだ。」
「がんばってみることは大切だと思うけど、不可能なことってあるからね。
向き不向きだってあるし。」

そう言う僕自身も、会社勤めに耐えられなかった。
サラリーマンとして生きる人々を僕は尊敬する。
だけど夜の世界を間近に見てきて、どんな仕事であれ仕事であることにかわりはないと、身を持って感じられるようになった。
そして、どんな仕事をしていても、心が美しい人とそうでない人がいる。美しい心を持った人程多く苦しむのが、この社会なのだ。
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