Nocturne



――――そう。

あれは、私が大学を最終決定し、願書を出す前の三者面談の帰り道だった。


あの日、皇に別れを告げた日から、皇に関してのことは一切何も言わなかったし、聞かなかったお母さんが私にこう言った。




『ねぇ、樹里?』

『んー、何?』




もう、高校入学してからずっとアメリカのH大に行くと決めていた私は、かなりスラスラとなんやかんやと決まって行って、願書も書いたところまで来ていた。


勉強面も『まぁ、どうなるかはわからないが、心配しなくても大丈夫だろう』と予備校の先生に言われるくらいになっていて。

あとは受験の日を待つだけ、というような状態になっていた。



―――正直言って、皇のことは頭の片隅に追いやっていた。

そんなときに、



『ごめんね、樹里』




そう、お母さんが突然言ったのだ。




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