Nocturne




私は初めこそ、何のことを言っているのか分からなくて、戸惑った。

けど、



『…っ、皇くんとの間を裂いてしまってごめんなさい―――!』

『…っ』




そう言われて、気付いた。

私はてっきり知らないんだとばっかり思ってた。


私と、匡仙さんの間だけで、収まってる話だと思ってた。

だけど、お母さんたちは知ってた。


…その情報源がどこなのかなんて、聞かなくてもわかった。




『…金光さんって人が、3年前…樹里が高校生になるときに教えてくれたの…全て』

『…謝らなきゃいけないのは私の方だよ、お母さん。だから、謝らないで』



お母さんはその時、初めて私の前で涙を流した。

けれど、私が勝手に思うだけだけど。


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