Nocturne
「おはよう、樹里」
「おはよう、お父さん」
スーツをビシッと着こなしているお父さん。
何気に、そんなお父さんにちょっとだけ憧れている。
何気に昔はすごくモテたんだとか。
確かにカッコいい。
私はソファーの方に向かうと、学ランを着たヤツが堂々と真ん中を陣取っていた。
「ちょっと!私も座りたいっ」
「んなら早く起きろっつーの」
生意気なっ。
私だって負けないんだから!
「私も座りたいの!
ちょっとぐらい退けてくれたっていいじゃない!」
そう私は叫びながら、
弟の竜也【たつや】の脇をこしょこしょしてやった。