Nocturne

君との“ハジマリ”





―――まだ私達が中学を入学したばかりの頃。
私は皇に言った事があった。










『ちょっと、高柳くん!』

『んだよ』

『またそんな所で寝て!
風邪引くし、授業付いていけなくなるよ!』



よく皇は授業をサボって裏庭の芝生に寝転がっていた。


それを見つけ出すのが学級委員だった私。

そしてよく呼び戻して来いと担任から雑用を命じられていた。



教室での彼は『さすが高柳財閥の御曹司』というような、きちっとした服装で、いかにも優等生というよう。


なのに彼はネクタイを緩くして、第2ボタンまで開けていた。

その変わりように私はびっくりしつつも、『あぁ、これが彼の“本当”なんだ。』と思った。






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