俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
彼女は木下美津子。
今日も図書室の本を手提げバッグにぎゅうぎゅうに押し込んで、小さな肩が壊れるほどだ。
「みっつん今日も本借りたの? すっごい量」
「だって夏休み中ずっと借り放題だよ? 図書館の鍵も先生から預かってるし!」
何の飾りもない質素な鍵を美津子は高らかに掲げた。
「ははは…私は…本苦手。今年も読書感想文手伝ってね」
「んもう!」
「にゃにゃにゃにゃ!!!」
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃ!!!!」
「!?」
二人の背後から、妙な声が猛烈な勢いで近づいてきた。