俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「ななななっ何してんのよっ!」

あまりの驚きに語尾がまともになる千鶴。

「あ、美津子がバスタオルを渡し忘れたからって。この棚の上に置いておくね」

「そっ! なら早く出てってよっ!」

「了解。ところで…千鶴の歌…何だか心が温かくなるね」

「ちょっ!! もうっ! 何言ってんのよっ! 早く出てって!!」



ガラス越しに叱りつけると、影はすごすごと脱衣所をあとにした。

ドアがガチャリと閉まる音がして、ほっと千鶴が胸を撫で下ろす。


「あいつ……何にゃ!?」


< 180 / 353 >

この作品をシェア

pagetop