俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
蒼がゆっくりと身構えたそのとき――


「じゃあ俺の肖像画を描いてくれないか」


門番の予想外の質問に、ただ四人は凍りつく。

(どどど、どうする?)

千鶴が蒼に耳打ちする。

蒼は少し考えて、ふと何かを思いついた。


「分かりました。こちらの画家にお任せを」

蒼が肩を叩いたのは、先ほどから恐怖で小さく丸まっていた美津子だった。


「ふあ、わ、わたし?」

美津子は声を上ずらせて、驚きのあまり頭巾が脱げた。





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