俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
小さな背中が丸くなって、グラウンドと睨めっこしている男の子。

声をかけると、目に涙をためてこちらを見上げた。


「昨日雨が降ったみたい…グラウンドがびしょびしょだよ」


頬に涙が伝わって、ちっちゃな足にぽたりと落ちた。


「じゃあ、今日のサッカーは中止?」


男の子に声をかけたのは…自分…じゃなくて…男の子と同じくらいの女の子だ。

女の子は男の子の横にちょこんと座って、男の子の頭を優しく撫でた。


「中止になんてならないよ」

「どうして?」

首を傾げた女の子に、男の子は空を指差した。


「太陽の熱を借りるんだ」



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