俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
確かに何もないはずなのに、蒼の顔は夕日に負けず赤く染まる。


「キスしてやろうか?」

「な!!!」


慌ててジタバタする蒼を、フレンは意地悪く「くくっ」と笑った。


(完全に遊ばれてる!)


うーっと唸る蒼を尻目に、フレンはすっと空へとのぼった。


「じゃあな」

「え? ちょ!」


蒼の声も虚しくフレンは雲の切れ間に消えていった。

「完全にあっちのペース…」

呆然と立ち尽くすしかない蒼は、とりあえず先ほどまでの出来事を思い返した。

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