大海の一滴
 プシュ。
 三本目の発泡酒を開ける。

 久しぶりの休みに舞い上がって、コンビニの冷蔵庫からつい六本パックを引っ張り上げてしまった。
 
 でもまあ、明日一日中家に居るのなら、昼から残りの発泡酒を飲んでもいいだろう。

 いや、やっぱりダメだ。
 美絵子が帰ってきた時に酔っ払っていたのではお話にならない。

(明日は早起きして、少し片付けでもしておくか)
 美絵子が戻って来たら何て言おう。
 もう一度謝るべきなのだろうか。

 でも、前にもしっかり謝っているし、何度も男が謝るってのも格好悪い気がする。
 なんかこう、うまい具合に自然と仲直りできる手段はないだろうか。

『女の子ってぇ、スイーツが大好きなんですよぉ』

 付けっぱなしのテレビから、売り出し中のアイドル達の甘ったるい声が聞こえた。

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