ブロってますか?
慌てて救急車を呼ぶ健一。


病院に搬送される美沙子。
応急処置が終わり、医師に呼ばれる健一。
たまたま当番で病院にいた美沙子の主治医だった。


「奥様は今夜から入院して貰います。」

「美沙子は、美沙子はどうなんでしょう?」


「全身に転移してます。今は痛みを止めるのが精一杯です。かなり自覚症状があったと思いますが、奥様は痛がったりされませんでしたか?」


健一は思い起こす。美沙子は健一や母親の前では、一つもそんな素振りは見せず常に笑顔だった事。

『何で、もっと気にしてやらなかったんだろう。』
健一は後悔したが、現実は酷である。


「先生、この先は…何とか、痛みだけでも…お願いします。」


医師に頭を下げる健一に、


「はい、出来るだけの事はしますが、覚悟はしておいて下さい。」


そう言うと、医師は立ち去った。
病室に向かうと、ベッドの脇で美沙子の手を握りながら、母親が泣いている。


「可哀想に…代われる物なら代わってやりたいよ…若いのにねぇ…」


美沙子は薬の影響か良く眠っている。
癌とは思えない綺麗な顔で…
健一は不思議な光景を見ている感じになった。


が、現実に死の足音は確実に…
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