ブロってますか？

「うん、本社から来てる田中さんって人が教えてくれてるんだけど、もう直ぐ本社に帰ってしまうの。だから今のうちに覚えないと。だから大変なんだ。」


「そうかぁ、大変そうだね。職場の人は優しい？」


「…うん。」


少し声のトーンが落ちる理恵。


「どうしたの？辛い事あるの？」


「ううん、皆優しいよ。」


やはり、何か隠してるな。と健一は思った。


「うん、とにかく早く仕事覚えないとね。困った事あればその岡村って人に相談すればいいよ。妬かないからさ。」


「うん！そうする！健ﾁｬﾝのお許しでたし！」


とたんに、弾んだ声を出す理恵。


理恵の弾んだ声を聞き、またまた自分に嫉妬する健一。
まさに、恋は心を変にする。


「じゃ、理恵ﾁｬﾝまた。おやすみ！またブログの方にもお邪魔するから。」


「あっ、まだ仕事中だったね。ごめんなさい。つぃ夢中で話ししてて、おやすみチュッ」


切れた電話を呆然と眺める健一。


『今、確かにチュッって聞こえた。って事は…』


１人赤面する健一。会社で見た理恵のピンクの唇が脳裏を駆け巡る。
シャワーを浴びても体の火照りは治まらないのだった。