ブロってますか?
何時もの時間に目覚める健一。
健一は昔から何時までも寝れるタイプではなく、目覚ましより先に起きる、ある意味神経の細かいタイプである。


馴染みのフロントマンに、


「じゃ、行って来ます。」
声を掛けルームキーを渡しホテルを出る。


「行ってらっしゃいませ。お気を付けて。」

笑顔で見送るフロントマン。


歩きながら健一は思った。


『そう言えば、いつから、行って来ます。行ってらっしゃいの会話無くなったんかな…』


会社近くの喫茶店でモーニングセットを頼み、煙草に火を付ける。会社の始業時刻まで後1時間ある。此処から会社まで歩いて5分。モーニングセットを平らげてもまだ余裕がある。健一は朝はゆったりとするのが好きだった。が、この日の朝は昨夜の電話の事もあり、会社の始まる時間が近付くにつれ期待と不安が交錯するのであった。


「おはようございます!」


先程の不安を打ち消すように、敢えて明るく大きな声で事務所に入る健一。
まだ、事務所には総務部の子しか来ていない。彼女達は他の部署の人間より出社時間が30分早い。只今事務所の清掃中である。


「おはようございます。岡村さんはやいですね。」

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