ブロってますか？

「ここは会社です！言葉使いには気を付けて下さい。決して村下所長の個人企業ではありません。それに誰が見たとか、この際関係ない事です！所長にも言いましたが、プライベートに口出すつもりはありません。但し公私のけじめはきっちりと付けて貰わないと、辞めてもらうようになります。当然所長にも責任を取ってもらいます。」


あまりにも毅然とした健一の態度に、佐藤も圧倒される。


「そ、そんなつもりじゃ…気を付けます。」


「分かって貰えましたか？なら良いです。早く仕事覚えて下さいね。」


「…はい、頑張ります。」


上目使いに見てくる佐藤の視線は明らかに媚びを含んでいる。


『やれやれ、所長の後ろ盾の脅しが効かないと分かった途端に今度はお色気かぁ、早めに対処しないとまずいな。』


うんざりした心情を悟られないよう、努めて明るく健一は言った。


「さっ、仕事仕事！早く覚えないと田中さんに怒られるぞ。」


「は～ぃ。じゃ戻ります。」


甘えた声を出す佐藤に、思わず悪寒が走る健一。


「あっ、事務所に帰ったら田中さん呼んでくれないかな？打合せしたい事あるから」


「はい！私の事告げ口しちゃや～よ。」