菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~
そのとき、あたしは気がついた…、

“王子はあたしが好きなんだ”

…って。

たぶん、まちがいないと思う―――――


「ま、そのうち、ちゃんと名前で呼ぶこともあるかもしんねぇけど、それまでは悪りぃけど、“お前呼ばわり”てカンベンしてくれ」

そう言って、後ろ頭をポリポリとかきながら王子は厨房の後片付けに戻って行った。

「…ったく、しょーがないな♪」



さっきは、ちょっと気まずい雰囲気になっちゃったけど、それも“ケンカの初体験”ってことで、ある意味、いい体験だったと思う。

それに、あのケンカのおかげで逆に王子のキモチが分かったような気もするし♪


考えてみたら、王子がいつもあたしのことを小ばかにしたみたいな態度をとるのだって、男のコが好きな女のコをいじめるのとまったく同じことだと思うし♪


“きっと王子はあたしが好きなんだ……”


あたしには分かる。

だって、女のカンは鋭いっていうし―――
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