菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~
Act.5 「晴天のカミナリおやじ」
楽しい時間は、あっという間に過ぎるっていうけど、あたしが『王様のショコラ』で過ごした時間も、あっという間に過ぎ去ってしまい、気がつくと、いつの間にか1月も月末になっていた。


そして今日はカレンダーの上では、1月最後の土曜日だった―――


「もうすぐ1月も終わりか…」

カレンダーを見ながら、独り言をつぶやくようにして言う王子。


「でも2月は女のコたちの恋の祭典 “バレンタインデー”があるじゃん♪」

「バレンタインデーか…。そーいや、お前、こんなハナシ知ってるか?」

「“知ってる”ってなにを?」


「“魔法のチョコ”のハナシ」


「魔法のチョコ!?」


「おととしのバレンタインデーのときのことなんだけどな、ウチの店でチョコを買って男にプレゼントした女のお客さんが、みんな“両想い”になったことがあってな」

「えっ。ココでチョコを買った人がみんな両想いになったっていうの? それって超スゴクない!?」
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