菓恋(かれん) ~be+ひと目惚れing~
「あぁ。だからそれ以来、ウチの店のバレンタインチョコは、絶対に両想いになれる“魔法のチョコ”って呼ばれるようになって、テレビの取材がきたり、一時期ネット上でも話題になってたくらいなんだぜ」

「へぇ」

「そーいう噂がクチコミでどんどん広がっていって、去年のバレンタインデーのときなんか作っても作っても全然生産が追いつかねぇくらいにバカバカ売れまくったんだよな」

「…で去年は実際“魔法のチョコ”のご利益はあったの?」

「それがな……」

「うん……」

「それが実際あったんだよ♪」

「すごっ!」

「ウチでチョコを買ったほとんど全員が相手と両想いになったらしいんだ」

「まさに“魔法のチョコ”だね」

「まーな♪ なにせ、若き天才パティシエであるコノ俺さまが1コ1コ想いを込めて作ったチョコなワケだし、ソイツを送られて両想いにならないはずなんてねぇさ♪」

なんかすごい得意げに王子は話してるけど…、

「バッカじゃないの?」

あたしは呆れたように言った。
< 72 / 115 >

この作品をシェア

pagetop