運命のヒト
M市の家。それは、彼の実家が所有している別荘のこと。
もともとは海好きのおじいさんが建てた一戸建てで、今は年に数回、両親が足を運んでいるらしい。
『今年中はわたしもお父さんも忙しくてね。大掃除に行く人がいないのよ』
『いや、俺だってそんなヒマは――』
大我が断ろうとしたとき
『はいっ、まかせてください!』
そばで聞き耳をたてていたシロが、携帯を奪って勝手に言い切った。
『っ!? お前っ』