運命のヒト

……“あなたなの?”


シロに出逢って、あたしもそう感じたのにな。

世界にひとりだけの“あなた”だと、感じられたのに。


――『もう……どこにも行きたくない。俺はずっとお前のそばにいる』


シロの嘘つき。嘘つき。

あんな言葉をくれたくせに、どうして消えてしまったの?


忘れろ、なんて簡単に言わないでほしかった。

あなたが残していったものは大きすぎるのだから。






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