運命のヒト
失恋しようが、男が失踪しようが、それで夜通し泣き明かそうが。
社会人なんだから、朝が来れば当たり前に出社する。
そういえば学生の頃は、恋人と別れたショックで学校を休んだりもしたっけ。
悲しいラブソングに浸りながら、ベッドの中で涙に暮れるのも、けっこう悪くなかったな。
そんなのできない今のあたしは、せめて仕事に没頭して、悲しみに飲み込まれないよう足を踏ん張るだけだ。
「美園さん、風邪まだ治らないんですかぁ? もう4日目ですよね」
月曜からマスクを着けているあたしに、隣のデスクの青木さんが言った。