運命のヒト
彼は昨夜のイタリアンバーで働いている。
まだまだ半人前シェフだから、ちょっとした料理しか任せてもらえないけど、わたしは冷やかしがてらに頻繁に顔を出すんだ。
「おはよー、大我くん。昨日あたしたちね、お店行ったんだよ。でも大我くん、昨日はいなかったねー」
「早番だったから」
チハルの言葉に、大我が簡潔すぎるくらい簡潔に答えた。愛想ゼロなのはいつものことだ。
「アンタさぁ、さっさと一人前になって美味しいパスタ食べさせてよね」
「俺の料理はミソ女にはもったいねぇんだよ」
「バーカ」
しばらくして、先に到着した快速に大我が乗り、あたしとチハルはその後の各停に乗った。
「大我くん、女性客にモテるだろうね~」
暖房の効きすぎた車内で、チハルが唐突に言った。
「は!? モテるって、あの小猿が?」