運命のヒト
ていうか、なんであたし、わざわざ来たんだろう。
普通に考えて怪しすぎるじゃん。あの人、あたしの名前知ってたし、ストーカーかもしれないし。
……まぁ、あんなイケメンのストーカーがいるとは思えないけどさ。
「も~いいや、忘れよっ」
これ以上あれこれ考えるのは面倒。あたしは投げやりに、時計台の柱をつま先で蹴った。
「――何を忘れんの?」
いきなり下から声が聞こえたので、あたしは「ひゃっ!」と飛び上がった。
声がした柱の反対側に移動すると、そこには見覚えのある顔。
「あ……」
彼が柱に背中をあずけて座っていた。
立てた両ひざにダラリと腕を乗せて、目線だけであたしを見上げている。