運命のヒト

即座に、あたしは情けなさでいっぱいになった。


バカだ、最低だ、あたし。思いつきで無責任な発言をして。

結果、こんな悲しいことをシロの口から言わせるなんて……。


「もし仮に、俺に関することを書き残しておいたとしても、記憶が消えた後よけい混乱するだけだ」

シロの口調は、去ってゆく自分のことじゃなく、残されるあたしのことだけを心配してくれている。


「……ごめん。シロ、ごめん」


受け入れるって誓ったのに。ジタバタして、また迷って、あたしはなぜこんなに弱い人間なんだろう。


「ううん、あやまることじゃないんだ」

シロはクスッと笑った。


「本音を言えば、俺だって今すっげぇぇお前を抱きたい。
悔しいからその分、園ちゃんの裸をしっかり目に焼きつけとくよ。幸い、電気消してても明るいしな」

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