運命のヒト

「なんであたしの名前知ってたの?」

「エスパーだから」

「は?」


面食らうあたしに、彼がプッと笑う。

からかわれた、と一拍遅れてあたしが気づくと、彼はつまらない手品の種明かしをするように言った。


「男があれだけ『美園美園』って連呼してりゃ、誰でもわかるっつーの」


……たしかに。あたしは唇をへの字に曲げる。


「じゃ……じゃあ、いきなり抱きしめたのは何?」

「そんなことしたっけ、俺」

「したよ! 骨折れそうなくらい!」

すっとぼける彼に、あたしはなぜかムキになって声を荒げた。
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