運命のヒト

ビルを出ると、ツリーの電飾が瞬いていた。

英語のクリスマスソングが、どこからともなく流れてくる。


幸せそうな聖夜の街で、あたしはシロの笑顔を思い浮かべた。

……けれど、その輪郭は日を追うごとに曖昧になり、声すらもハッキリと思い出せなくなっている。


――『きっと、“あるべき存在”ではない者の記憶はすぐに消えてしまうんだ』


もうすぐ、あたしはシロを忘れてしまうんだろうか。

過去のあたしがそうだったように。

記憶の中ですらも、彼に会えなくなるんだろうか。

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