運命のヒト


「心配してもらわなくても、適当に探すから」

そう言って歩き始める彼。


あたしはとっさに、さっきの女性が呼んでいた名前で呼びとめた。


「タカシくん!」


彼の足が止まる。


「適当に探すって……他の女の人に声かけるの?」


肩越しに振り返り、無表情であたしを見る彼。


「その人のことも、あたしみたいに抱きしめるの?」


プッ、と彼が吹き出した。あたしは耳まで赤くなった。


我ながら、なんてバカな質問だ。

彼が他の女に何をしようが、関係ないって自分で言ったのに。

< 42 / 415 >

この作品をシェア

pagetop