運命のヒト
「えっと。どうぞ座って」
ソファをすすめるあたしの声が、かすかに上る。
今さらだけど、この状況を意識してしまって。
男と、ふたりきりで過ごす夜。
起きてもおかしくはない出来事が、頭というより全身を駆け巡る。
あたしはそっとシロの方を見た。盗み見るつもりが、視線がぶつかって、あわてて目をそらした。
「何か飲む?」
あたしの背丈より高い冷蔵庫を開けると、流れ出てくる冷気。
と、背後に気配を感じ、ビクッと体ごとふり返った。