運命のヒト

今の彼氏――沢村さんとそういう関係になったのは、3ヶ月前。

派遣社員と正社員っていう、ごくありふれた関係だった。


短大卒22歳のあたしに、30歳の沢村さん。

8つの年の差は、彼を完璧な大人の男に見せた。

デートのときには甘い賛辞の言葉を、いつも惜しみなく与えてくれた。

あたしの白い肌が好きだとか。

猫みたいな大きな目がキレイだとか。

栗色の長い髪をずっと撫でていたいとか。

こんなにセックスの相性がいい相手は初めてだとか。


彼に愛をささやかれ、求められる時間があたしは大好きだった。

彼の左手の薬指に指輪が光っていることは、最初から気づいていたけれど。

むしろ、そんな左手であたしをベッドに押し倒すから、普通の恋より情熱的に燃えた気がしたんだ。

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