桜、雪、あなた
帰り道
最北で1番の繁華街
大勢の人達が行き交う中を
ひとりで歩いた
「………」
白い息
カサカサと風に舞う枯れ葉たち
秋の夜空は澄みきっていて
真ん丸く浮かぶ満月は
滅多に見る事の出来ないこんな街にも
星の光を届けてくれた。
『すき』
…届ける事が出来なかったあたしの思い。
もし
あの職場の後輩ちゃんの様に若かったらー
もし
あたしもミキちゃんの様に素直だったらー
何か違っていたのだろうか。
諦める事なく
思いをぶつけていたのなら
何か違っていたのだろうか…。
ーと、
その時
ドンっ
放心状態のまま歩いていたら
知らない誰かにぶつかった
「あっすみませんっ…」
「いえ」
「………」
『だから気を付けて歩けっつっただろ』
ヨウスケくんの声が聞こえた気がした。
「…はぁっ、つ……」
…恋って……
恋ってこんなに苦しいんだね
あたし、今まで知らなかったんだ
知らなかった の。
「…すき、だなぁ……」
小さな声で呟いた
小さな声でも口に出せば
その思いは大きくなる
大きくなるとその思いは涙へと変わる
「…あたし 本っ当にヨウスケくんの事すき、なんだぁ……」
涙が零れない様にと
せっかく
星空を見上げたのに
その景色は涙で滲んで
星なんて
ひとつも見えなかった