桜、雪、あなた



…そもそも





『きっと時間がどうにか解決してくれる』





そう思っていたのが
大間違いだったんだ。



だってね
あたしの頭の中は

結局
いつもヨウスケくんでいっぱいで



会いたくないなんて思いながらも

結局いつも
どこかでヨウスケくんを探してて。



前までならあんなに喫煙室で、職場で会えていたのに

あの日を境に不思議な位ぱったり会わなくなって。



それはあたしだけじゃなくて

きっとヨウスケくんも
あたしを避けているからなんだろうってわかっていても

それがどうしても苦しくて。





ヨウスケくん専用の着信音を聞く事もなくなって

今ではあたしの携帯のリダイアルと着信に

“ヨウスケくん”の文字はもう、なくて。



だけどメモリーだけはどうしても消せなくって。



…そんな自分が
惨めで、可哀想で

だけど、
どうする事もできなくて



…ヨウスケくんからもらったCDも、ストールも、
一緒に撮った写真も
クローゼットにしまい込んだまま、捨てる事ができずにいて





そんな中迎えた
29歳 ひとりきりの誕生日。



もしかしたらヨウスケくん、今日があたしの誕生日だって気付いてくれているかなって

思い出してくれたかなって

ちょっとだけ期待して
零れ落ちそうだった涙をぐっと堪えて飲み込んだ。



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