桜、雪、あなた
「…へえぇぇぇー。」
「うん」
「そっかぁ。あたしはてっきりミオが付き合い悪くなっちゃったし、もしかしたら~なんて思っちゃった!」
「違う違うっ!てか嫌みっぽく言わないでよー」
すると
ミキちゃんが唇を尖らせて
じゃあもっとあたしに構え
と、
言ってきた。
寂しいじゃん って
拗ねるそんなミキちゃんの素直さがかわいくてあたしは思わず笑った
「笑うなぁっ!」
「あははっごめんごめんっ!」
ーパッと見、ミキちゃんのこのクールな外見と
この素直で可愛らしい性格のギャップにやられた男達は数知れない。
(まじでね)
人前でポロポロ涙を流したり…かと思えば
笑顔になってあたしに抱きついてきたり。
あたしはそんな天真爛漫な性格のミキちゃんがだいすきで。
「…なぁーんてね! でも意外ーっ!惚れやすいミオの事だから絶対そうだと思ってたけど、そんなもんなんだねー」
だけど時々、
「うん、そんなもんだよ」
そんな性格を羨ましくさえ思っていた。
あたしはミキちゃんの様に素直じゃ、ないからだ。
ヨウスケくんに対して
恋愛感情がないとはいえ、今まで散々合コンとかクラブとか
……ナンパ待ち、とか。
常に一緒に
遊びまくってきたミキちゃんに。
まさか。
“素直”
と、
いうものをどこかに置き忘れてしまったこのあたしが
『ヨウスケくんからの電話を待ってるのが楽しみでー』
なーんてそんな可愛らしい事をどんなに冗談でも恥ずかしくって、言えるわけがなくって。
…ましてや
これだけ言われているヨウスケくんの事なら
なおさらだ。