桜、雪、あなた



「…鈴の、音?」

「…えっ?!や、あ、う、うん……」





突然
焦りだして動揺するヨウスケくん





「何でそんな動揺してるの?」





あたしは少しだけ体を離して
ヨウスケくんを
見上げた





「や、」

「…なぁに?」

「………」

「………」

「………笑うなよ?」

「わ、笑わないよ!」





すると
ヨウスケくんが俯きながら

これ

と、
言って



コートのポケットから
取り出したものを

見せられた



あたしは





「…え」





泣く事を

忘れてしまう事になる









「…こ、れ」

「おー」

「…あたしの…」

「あー!もう何かすげー恥ずかしいんだけど!」




…だけどまた





「まさか本当に会うとか思ってなかったし」





ちゃーんと涙は





「つーかはずすとか頭になかったし」





ポロポロと零れて





「あー…つーか
うん ミオちゃんて、あれだな」





恥ずかしそうに笑う
ヨウスケくんの赤くなった顔と、





「見た目と違って結構泣き虫だよな」










家の鍵に

揺られる



キーホルダー。










「…ず、っと付けていて…くれたの?」

「ま、まぁな」





『唯一お揃いの物だった』





…ーあの日





『見つかる事はもう、なかった』





あたしが無くした





「…ありがとう」

「………おぅ」





もう ひとつの

キーホルダーが










「…すごく嬉しい…」

「……どういたしまして」










汚れていると、
気が付いたのは





いつの間にか
止んでいた雪が



消えた厚い雪雲と
入れ替わるかのように

空が晴れて
輝く星が

隣で寄り添って
真ん丸く浮かぶ月を



照らしてくれたから

だった





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