桜、雪、あなた



季節は春。
どこよりも一番遅い春がこの北国にも訪れる頃、

『桜が綺麗に咲いた日にミオが生まれたから』

だから

“美桜”

この名前をつけたのよ

と、
お母さんが教えてくれた。



「…え、本当にっ??
誕生日お祝いしてくれるの?」

「もちろん!」



わーわーわー
ちょー嬉しいんですけどっ!



「ホントにホントにホントにっ?!」

「繰り返すねぇ まじだって」

「わぁっ!!」



嘘みたいっ!

だってだってだって!!
本当に仕事入れようとしてたのに!

こんなあたしなんかの誕生日をお祝いしてくれるなんて…

これは や・ば・い。

嬉しすぎるっ!



「桜!いいね!」

「だろ?思い切って連休とろうぜ?」

「うん!」



わぁー!!
どうしよう!しかも連休だって!

………って事は?

むむ!

1日中ヨウスケくんと遊べるって事じゃんっ!!



「嬉しいーっっ!」



あたしめっちゃビップ待遇じゃん!
てか、ヨウスケくん貸し切りじゃん!



「はははっ 大袈裟だなぁ」

「だってー!!」



ひとりで寂しく過ごす予定だった誕生日が、思いがけずヨウスケくんで埋まってしまった事で

(しかも1日中!)

あたしのテンションは一気に最高潮まで上がってしまって
とにかく本当に嬉しくて

(だって1日中!)

喜ばずには



「わーいっ ありがとっ!!」



いられなかったんだもん!

(1日中!!!!イエイ!あたし、寂しくなんかない!!!!)



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