桜、雪、あなた
「どーせミオちゃんの事だから、きっと金かけたのあげたら性格的にまず受け取ってくんねーだろーって思ったからさ。
だから、それはおれのお古」
「え、でもしたっけヨウスケくんこのアルバム聞けなくなるっしょっ!」
「心配いらねぇよ。CD焼いた方おれもらったから」
………。
「このアルバムまじで調子いいからミオちゃんにぜひ聞いてもらいたかったし」
「で、でも…」
「大丈夫だって!まじで金かかってないからさ」
「いいの…?」
「いいに決まってんだろ。はい、だからどーぞっ!」
確か4曲目にあの時の歌入ってるはずだから、ぜひ聞いてみて
そう言うと
ヨウスケくんはもう一度あたしの手のひらにCDを置いた。
『前さ、ミオちゃんが1回行ってみたいって言ってた見た目すげーお洒落な居酒屋あんじゃん?』
ーこの人は、
『一緒にカラオケ行った時おれ歌ってた歌でミオちゃんがめっちゃイイって言ってたやつ』
ちゃんと、
小さな
ひとつひとつの
出来事を、
言葉を、
覚えてくれている
「…あ、ありがとう」
優しい人。
休みを合わせて
桜を見に連れて行ってくれたり、
こうしてご飯ご馳走してくれるだけで十分なのに。
これ以上、
何も 要らないのに
「へへっ…」
「何笑ってんだよ」
「わかんない。でもなんか…」
「わっかんないのかよ!」
「ううん、違うの。すごく…嬉しくて……」
「おー。まぁ、喜んでもらえたならよかったですワ」
「…うん」
十分、なのに。
「あ。」
「なぁに?」
「それと、ミオちゃん」
「ん?」
「もうひとつ大事な事言うの忘れてた」
「え?」
「…ミオちゃん、」