桜、雪、あなた



…そ、そりゃあ ね。


『ほんっっとーにポーカーフェイスですよねぇ』

『おっかない顔して歩いてますもん』

『いつも眉間にシワ寄せて歩いていますし』



「す、すごく仕事に真面目できちっとしている方かと…。」



だなんて。言えないっすよ。

(絶対無理っ!!)



だけど、



「まぁーじかぁ!オレ全然そんなんじゃねぇよ!」



照れる様に笑うヨウスケくんの笑顔につられたあたしは、
やっといつもの様に気が付けば自然と笑えたみたいで。

そんなあたしの様子を見たヨウスケくんが満足そうに

うん と、頷くと



「よっしゃ!飲むぞっ!」

と、
場を盛り上げるかのように突然手にしていたビールを一気に飲み始めた



「だー!うめぇっ!」

「おぉっ!」



そのあまりの気持ちのいいヨウスケくんの飲みっぷりに
あたしが拍手をしながら声をあげると、
すかさずヨウスケくんが



「ほら、ミオちゃんも!」



イケる口だろ?
なんて意地悪な顔であたしのグラスを指差した。

だけど、全然意地悪に感じない言い方に



『あ、気を遣ってくれたんだ』

と、
すぐに気が付いたから
せっかくのヨウスケくんの気遣いを無駄にしないように



『お酒様、お酒様!今日はあなた様に助けて頂きます!』



あたしはしっかりとお酒様にお祈りをして



「よっしゃ!頑張ります!!」



気合いを入れて
手にしたビールを一気に飲み干した



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