桜、雪、あなた





「いらっしゃいませー」



ヨウスケくんのお家に向かうその途中、
前にヨウスケくんから
おいしいと勧められた季節限定の発泡酒とヨウスケくんがすきなお菓子を買い込んだ



『元気が無くたってすきなものを口にすればすぐいつものヨウスケくんに戻るでしょ!』



あたしなりの気遣いのつもりだった。



「ありがとうございましたー」



さすがに少し多めに買ったお酒とお菓子の入った袋は重たかったけれど

(それにあたし荷物無駄に多い子なのよね)

あたしはヨウスケくんに

聞きたい事が、
話したい事が、

たくさんあったから。



『こんなの余裕だぁ!』

と、
気合いを入れて荷物を持ち直した



『最近元気ないけどどうしたの?』

って
まず聞きたくて



『昨日のドラマ見た?』

って
次に聞きたくて



『周りにうちら付き合ってるって思われてるみたいだよ』

…って
どうしても言いたくて。

聞きたい事もたくさんあったけれど
結局あたしは嘘でも噂でも周りからそう思われているのが嬉しくて。



『うぜぇよ何だよその噂!』

って
言われるのなんて目に見えていたけど、それを何よりもヨウスケくんに話したかった。

だから、とにかく



『早く会いたいなぁー』



そう思ったあたしは



「よいっしょっ!」



もう一度荷物を持ち直すと
歩く速度を早めてヨウスケくんのお家へと足を向けたんだ



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