あなた色に染まりたい
もっと自分に自信が持てたらいいのにな。


はぁ……




「紗羽?」




あ、つい、蓮の目の前で溜め息をついてしまった。


きっと変に思ったよね。




「なんかあった?」




ほらね、やっぱり。


蓮は、こういうことに敏感なんだ。




「蓮は、目敏いね」


「そりゃ……、もう紗羽を失うかもしれないって、そんな思いはしたくないからな」




“失うかもしれない”?




今年のバレンタインのことを言っているのかな?


確かにあれからの蓮は、凄くよく気がつくようになった。


といっても、もともと何にでも敏感なところはあったんだけどね。


あの出来事のあとからは、もっとそれを感じるようになった。
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