あなた色に染まりたい
「つーか、その『お兄さん』ての、やめねー?俺ら、同い年なんだからさ」



お兄さんはそう言うけれど……


でも……



「蓮のお兄さんだし」



それに、そんな過去の話を聞いたら余計にそう呼んでいたくなる。


むしろ『お兄様』と言いたいくらいだ。


だけど、あたしの意見は全く聞く気もないらしく……



「じゃあ、次から航って呼べよ。もしまた『お兄さん』とかふざけたことを言ったら……」



お兄さんは少し考え込んだあと



「罰ゲームな」



なんて言ったけれど、罰ゲームって何!?


訳のわからないことを言われたから、自然と眉間に皺が寄ってしまった。


目の前に座るお兄さんが、そんなあたしを見逃すわけがなくて。



「すっげぇ不愉快な顔してる」



と笑いを漏らす。
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