あなた色に染まりたい
大輝のことを知っているのは、もう四年のあたし達しかいない。



この場所に座るんじゃなかった。




「紗羽、今でも大輝さんと会ってんの?」




隣から飛んできた言葉に、うまく反応することができない。




「ううん…ごめん、トイレ。」




とにかく、この場から逃げ出したくて、なんとか言葉を絞り出した。




涙がすぐそこまで出かかっていたから、早くこの場を去りたかった。





トイレの個室に駆け込んだとたんに、涙がぶわぁーってあふれてきた。



やっぱり、ダメだ。


大輝の話が出ると、胸が痛くなる。




あんなに強烈な印象を残してしまったから、三年も前のことなのに、みんな覚えちゃってるんだね。




ていうか、みんなはあたしが大輝に振られたことを知らないのかな……




知らないから、あんなこと……



『今でも大輝さんと会ってんの?』



なんて、聞くんだよね。


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