あなた色に染まりたい
目の前にある蓮の笑顔にドキドキしながら、口を開く。




「うん。でも食べてから言ったほうがいいかも。口に合わないかもしれないし」


「じゃあ、早く食お?」




満面の笑みでそう言った蓮に、あたしの心臓が壊れそうだよっ……




いつも蓮とは向かい合って食べるけれど、今日はそれが恥ずかしくてしょうがない。


顔をあげられないよ。


蓮への想いに気付いただけで、こんな風になっちゃって……




あたし、これから先大丈夫なのかな。




「うめぇ!紗羽さんって何でも作れるんだな」


「そんなことないよ。でも口に合って良かった」




蓮はただ誉め上手なだけなのに、その言葉に過剰に反応してしまう。


あまりにもドキドキしすぎて、ワインにばかり手が伸びてしまった。




「紗羽さん、ちょっと飲み過ぎじゃね?」




確かに、飲み過ぎたかもしれない。


なんだか体がフワフワする。


< 82 / 423 >

この作品をシェア

pagetop