あなた色に染まりたい
「……ごめん。」




えっ……




「なんで、謝るの?」


「いや、なんとなく。」


「謝らないでよ。あたしがしたいって言ったんだから。」


「……」




キスをして謝られるって……


なんだか、間違えてキスをしてしまったと言われているようで……凄く嫌だった。




相変わらず、蓮の顔が見れなくてうつむいてると、蓮があたしの顔を覗き込んできた。




「何で?」


「ん?」


「何で“キスしたい”つったの?」


「……」




どうしよう……


想いを伝えるのは、正直まだ怖い。




「紗羽さん?」


「酔ってたから、だよ。」




ありきたりな嘘でごまかそうとしたけれど……




「酔ったら、誰にでもそういうこと言うの?」




凄い勘違いをされてしまった。




「……んなわけないじゃん!蓮だからでしょ!?」




ついカッとなって、声が大きくなってしまった。


あたしが、誰とでもキスしちゃうって思われるのが嫌だった。


< 85 / 423 >

この作品をシェア

pagetop