あなた色に染まりたい
「何で俺だと、キスしていいんだよ?」




蓮が眉間にシワを寄せながら、呟くように聞いてくる。


もしかして、バレちゃった?


どうしよう……




「すっげぇ自惚れなんだけど……すっげぇ図々しいんだけど……もしかして、俺のこと好きになってくれた……とか?」


「……」




やっぱり、バレちゃった?


ホントにどうしよう……


今ここで、想いを伝える勇気はない。




「やっぱ図々しいよな、はは。」




図々しくないよ。


そう言いたいけど……


蓮、ごめん……


今はまだ、無理なんだ。




「シャワー浴びて、酔いをさましてくる。」




この気まずい空気に耐えられなくなり、そう言ってこの場から逃げた。






熱いシャワーを頭から浴びて、深呼吸をする。


人差し指で唇を触ると、さっきのキスを思い出して、身体がまた熱くなってきた。




こんなにも好きになってるとは思わなかった。


自分がまた恋をするなんて思いもしなかったから、蓮への想いが本物だなんて気付かなかった。



ていうか……そう思いたくなかった。


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