奇跡みたいな奇跡
とてっちゃんは微笑んで
私の頭を撫でてくれた

そのしぐさがたっちゃんに
似ていて、思わず頬が赤く
なってることに気付いた

「よし、じゃあ帰るか
乃ノ香、着替えてきたら?」

私は我に返りいそいで更衣室
に向かった

「これで良かったのかな」

私は更衣室の鏡をじっと見て
自分と自分で睨み合った

これでいいんだよね
これで・・・

こんな奇跡なことは一生にないから
このときだけでも幸せをください・・・

そして私はカフェの制服から私服
に着替えて外に出た

「ごめん、遅くなって」

「あー全然きにしてねぇから」

てっちゃんはにこっと笑って
私の肩を抱き寄せた

少しとまどったけど
これがたっちゃんだと思うと
嬉しい気持ちになる

セミの鳴き声が聞こえるなか
私達は一緒に帰った

「もうすぐ夏休みだな」

てっちゃんはまっすぐ前を見て
私に話しかけてきた

そっかもうすぐ夏休みか・・・


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