恋の魔法と甘い罠
だって、別れる……どころか、慎也さんに奥さんがいるってことをあたしが気づいてしまったことすら、慎也さんは知らない。


顔を伏せたまま俯いていると、和泉さんの溜め息混じりの声が耳に届いてきた。



「休憩室で会ったとき、俺、睨まれたような気がするんだけど」


「えぇっ!」



思わず大きな声が出た。


だって、今、慎也さんに睨まれた……って。


だけど、それはないよ。


きっと和泉さんの勘違い。


だって会社では秘密で……って言っていた慎也さんが感情を表に出すなんておかしいもん。


そもそも奥さんがいて、あたしのことはなんとも思っていないんだから、それは絶対にあり得ない。
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