恋の魔法と甘い罠
確かに慎也さんはあたしに、奥さんがいるような素振りを見せたこともそんな話をしたこともなかった。


その上、あたしが和泉さんと一緒にいるところを見られたのだからそう思われてもしょうがないのかもしれない。


だけど……和泉さんから聞いたと疑っている慎也さんの表情はどこか怒りを含んでいて。


和泉さんに対して怒っているように見えた。


だから、



「違いますっ! 和泉さんからはなにも聞いていません!」



慌ててそう言った。


なぜだかわからないけれど、和泉さんのことを悪く言われるのは嫌だと思った。


だけど慎也さんは、



「アイツを庇うのか?……ああ、そうか、好きになったら庇いたくなるよな」



そう言って、ふっ、と笑った。


ほんとに違うのに……。


和泉さんはあたしのことを助けようとしてくれているだけなのに。
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