恋の魔法と甘い罠
食べている間は特に会話はなかったけれど、すべてを知ってくれている和泉さんと一緒にいるってだけで安心できた。


食器の中身が残りわずかになった頃、ちらりと隣を見ると頬杖をつきながらこっちを見ている和泉さんと、ばちっ、と目が合った。


食べ終わったから暇をもて余しているんだろうけれど……


何でこっちを見ているの!?


慌てて視線をそらしたあたしに和泉さんはぷっと吹き出す。


絶対にあたしの反応を見て面白がっているんだ。


できるだけ気にしないように気にしないようにと頭の中で唱えながら、残りのおかずを平らげていく。


最後の一口をごくりと飲み込んで「ごちそうさまでした」と手を合わせたら、



「じゃあ、いこうか」



と二人分のお盆を持って立ち上がった和泉さん。


えっ!? もう!?


時間を見るとまだ15分も残っていて。


食後のお茶をゆっくりすすりたい気分なのに。


だけどそのままあたしの分まで食器を片付けにいった和泉さんについていくしかなくて。


慌てて席を立って追いかけた。
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