恋の魔法と甘い罠
そして、経理課に入るなり、



「ちょっと! 玲夢ちゃん!」



大きな声でそう言って走り寄ってきたのは予想通り悠亜さんで。


その先の言葉が何かわかっているから逃げ出したくなってしまった。


そんなあたしをよそに、すぐに傍までやってきた悠亜さんはあたしの肩を軽く揺すりながら、小声で



「どういうことっ!? なんでっ和泉さんとっ!?」



と言ってきたけれど、ちゃんと周りには聞こえないようにと気を遣ってくれたらしい。


でも今のこの短時間では説明できるものではないから、心の中では、早く始まりのチャイムがならないかなぁ、と思っていた。


そしたらすぐにそのときは訪れて、ほっと息をつく。


悠亜さんは不満そうな顔をしていたけれど。



「帰りにまた聞くからねっ!」



そう言って自分の席に戻っていった悠亜さんの背中を見ながら、あたしも席についた。
< 175 / 357 >

この作品をシェア

pagetop